2013-01-01から1年間の記事一覧

「言語学の教室」

認知言語学の入門書です。でも、入門書といっても、かなり本質的な部分に迫っていると思います。 難しいので、内容をまとめるなどとてもできませんが・・ メトノミーをただ隣接性ととらえるのではなく、ある言葉の引き出す「フレーム」の別の側面を焦点化し…

「日本人の日本語知らず」

実にわかりやすい本だ。 文法、音声学、語用論など、日本人が当たり前と思っていたり、わからずに(自然と)使っていたりする問題をエッセー風におもしろくまとめてある。視点が鋭い。 日本語を教えてみようかな〜と思っている人にはおすすめ。日本人の日本…

「外国人力士はなぜ日本語がうまいのか」

たしかに外国人力士は日本語がうまい。インタビューなどを聞いていても、外国人であることを忘れてしまうほどだ。読むことに関しても番付表の漢字は十両くらいまですんなり読めるらしい。色紙のサイン、一言も書ける。 彼らは、なぜ、あんなに上手に日本語を…

「日本語文法整理読本」

「検定」対策の中でも範囲が広く、難しいのが「文法」分野だ。細かい「木」の部分にはまり込むと抜け出せなくなり「森」が見えなくなる。そんな文法分野なのだが、「検定」対策の決め手となるような参考書がない(と思う)。 養成講座の講師に推薦されて手に…

「バイリンガル教育の方法」

バイリンガルというと、英日バイリンガルのようなステータスの高いバイリンガルをまず思い浮かべる。英日バイリンガルが子どものころに苦労して2言語を習得したことは否定しないが、結果としてプラスに働いている場合が多い。しかし、身近なところで、ブラ…

「学び」の構造

昭和50年(1975年)発行の本である。それでも、ここに書かれている内容は、今でも輝きを失っていない。 学ぶとは、覚えることではなく、わかること、何がわからないかわかることである。 学び続けることは、人間を人間たらしめる。 自分の狭い領域で理論が整…

イリッチ「脱学校の社会」

学校(特に義務教育のそれ)は、あたりまえのように世の中で機能している。だが、はたして、本当に学校は社会に必要な機能なのだろうか?と問われると確たる答えを出す自信はない。イリッチは、今の形の学校は不要であると説き、さらに進んで、学校があるか…

「辞書を編む」

三省堂国語辞典の編纂に携わっている著書が、辞書の編纂の現場を実況中継してくれています。用例収集、掲載後の選定、語釈の記述など、「舟を編む」のマジメさんの姿にダブって見えます。ただ、実際は、映画のようにスマートではなく、街へ出て気になること…

映画「舟を編む」

久しぶりに映画を見に行ってきました。「舟を編む」です。 辞書の製作現場というのは、実に地味で、でも一方でとっても「体育会系」のような部分もあるのだと思いました。見出し語が1つ抜けているのがわかって、みんな泊まり込みで24万語を人海戦術でもれ…

「日本語教育学を学ぶ人のために」

一般に「教育」「教える」ということから連想するのは、「私、教える人、あなた、教わる人」のようなイメージではないだろうか。特に、昭和の時代に教育を受けてきたわれわれの世代は、それ以外の教育を知らないで育ってきた場合が多い気がする。それをその…

「飛雄馬、インドの星になれ」

あのなつかしいアニメ「巨人の星」のインド版をインドでテレビ放映した(今も続いている)当事者の「奮戦期」である。ちなみにインド版では、野球ではなくクリケットの話になっている。 副題に「インド版『巨人の星』誕生秘話」とあるが、「秘話」というほど…

怪我の功名

応急用のXPパソコン。実はこれも以前にWindowsが立ち上がらなくなって、工場出荷時の状態に戻したものだ。いちおう、インターネットとプリンターは使えるように設定してあったが、メールソフトは入れていなかった。修理に2週間くらいかかるかもしれないとの…

パソコンが壊れた

今日、このサイトにアクセスしているまさにそのとき、パソコンの動きが変になった。ログインしても「ようこそゲストさん」だし、タグもつけられない。おかしいと思って、2月に外付けハードディスクに残したイメージに復元しようとしたら、今度はウィンドウ…

「母さん、ぼくは生きてます」

前掲「”ようこそ”と言える日本へ」の中でも触れられていたアフガニスタン「難民」、アリ・ジャン君の「手記」。アリ・ジャンはタリバンの迫害から逃れて日本に難民申請したにもかかわらず、「難民」とは認められなかった。 そのアリ・ジャンが成田に降り立っ…

「異邦人の夜」

なんともやるせない読後感。懸命に生きる異邦人たちは、異邦人だからこそ苦しい生き方を余儀なくされる。異邦人には生きにくい日本。これはフィクションだが、同じように苦しんでいる異邦人はたくさんいる。異邦人の夜〈上〉 (幻冬舎文庫)作者: 梁石日出版社…

「エルクラノはなぜ殺されたのか」

1997年に愛知県で起きた、14歳のブラジル人少年エルクラノが集団リンチを受けて殺害された事件を丹念に取材し記録した書である。犯人は複数の日本人少年。集団は20人くらいにのぼるという。 エルクラノが何か悪いことをしたのかというと、何もしていない。犯…

Google Chromeを使ってみる

アルクのサイトに「辞書は「ブラウザ組み込み式」が便利!」がいうページがあり、この組み込み式の辞書を使うには、Google Chromeが必要とのことなので、さっそく入れてみました。Google Chromeは速い!というのが前評判で、言われてみれば動きはけっこう速…

スマホ奮戦記--カレンダー「ジョルテ」

しばらくスマホの設定などは変える必要もなく、空気のように使っていた。 アンドロイドのカレンダーに「ジョルテ」というのがある。アンドロイド標準の「カレンダー」はその日の日付をタップしないと予定が読めないのでとても不便だ。その点、ジョルテは、起…

”ようこそ”と言える日本へ

『入管戦記』は不法に日本に滞在し日本で犯罪を犯す外国人を摘発する話を描いている。一方でこの本は、同じ入管の、難民認定をしない姿や不法滞在外国人への情け容赦のない摘発、締め出しの実態を描いている。 この本のテーマは、一言でいえば「難民鎖国」日…

「入管戦記」

当時、東京入国管理局長だった著者が、入管をめぐる様々な問題について語った書である。 日本語学校を「隠れ蓑」にして日本での不法労働者を斡旋するブローカーの摘発、「興業」ビザで入国したダンサーたちがホステスとして働かされていたフィリピンパブでの…

夏目漱石「道草」

『Jブンガク』で紹介されている一冊。漱石の自伝的小説ともいわれる。 留学から帰り、学問に没頭したい健三は、それを妨げようとする親戚関係や「金」の問題、夫婦間の擦れ違いなどに振り回される。明治に書かれた作品なのに、今の時代でも十分に通用するテ…

音素と異音の記述

音声学の世界では、抽象的な音である「音素」とそれが実際に発音される時の音「異音」を区別して表現する。はじめ聞いたときは何を言っているのかわからなかったが、例えば、日本語では、[suna]と発音しても[θuna](θ)は英語のthの発音)と発音してもどちらも…

再読「学ぶ意欲の心理学」

市川先生の本を再度読んでみた。今回はデシの本や苅谷先生の本も読んだうえでの再読だ。 一回目に読んだ時は読み流してしまっていたところが多くあることを発見。そんなところも二回目ではよく理解できた。一回目は「読んだつもり」だったのだ。 動機付けに…

小説ドラゴン桜、読み終わってしまった

5巻め、図書館の本が回ってきて一気に読んだ。う〜〜ん、さわやかなエンディング。読み終わってしまってなんだか寂しい。もっと読みたかったな。 落ちこぼれだった二人。「できない」と思わされていた二人が、今や勉強するのが楽しくてしかたない、と自主的…

デシ「人を伸ばす力」

この本は、「内発的動機付け」の研究の権威とでもいうべきデシが一般向けに研究成果をわかりやすく解説したものです。 「内発的動機付け」とは、監訳者の桜井氏によれば「自ら学ぶ・やる意欲」です。この反対が「外発的動機付け」で、報酬をえさにやりたくな…

「ほめる」技術

この鈴木氏の著書は、「ほめる技術」というタイトルになっているが、これは販売戦略のためで、本来は、ほめることを含む「アクノレッジメント」を紹介するものです。「アクノレッジメント」は英語のacknowledgementをそのまま日本語にしたもので、意味は「承…

ドラゴン桜--人気の理由

一般にドラゴン桜は、東大受験のテクニックの紹介が世間の目を引くことが多い。しかし、(コミックはわからないが)小説版は、ストーリー性にも面白さが隠されている。 たとえば、本編後半に出てくる、桜木が司法試験を目指したきっかけになった一連の「回想…

「知的複眼思考法」

「常識」にとらわれずに自分の頭で考えるためにはどうしたらいいのか、がこの本のテーマです。 そして、読むこと、書くこと、問うことをとおして実際にどうするのか、というヒントを示してくれています。 本書で示している考え方は、まっとうな考え方です。…

「ごまかし勉強」

「ごまかし勉強」とは、主に中・高校生が定期テストの点数を上げることを目的に、他人に作ってもらった(ひどいときには教師から渡された)暗記用「カンニングペーパー」をひたすら覚えて当座をしのぎ、テストが終わるときれいさっぱり忘れてしまうような勉…

「教えて考えさせる授業」を創る

市川氏が「教えて考えさせる授業」を実際にどう作るのかを解説した本。 ただし、何が何でも「教えて考えさせる授業」ではない。学習の習得サイクルと探究サイクルというバランスの中で特に習得サイクルでは「教えて考えさせる授業」を基本にすべきだと言って…