子育てはもう卒業します

垣谷美雨の作品。 男女雇用機会均等法が出来る少し前に大学を卒業した3人の女性の物語。就職、結婚、子育てと頑張ってきた。自分の人生、もっと大切に生きていかなきゃ、というのが共通の願いか? 時代背景などもよくわかるから、面白く読んだが、垣谷美雨…

夫の墓には入りません

垣谷美雨の本は面白い。 「高瀬家の嫁」という立場を強制されるのが嫌で、豪快に啖呵を切って姻族関係終了届を出す、という話かと思ったが、それで終わりではなかった。嫁の重しが外れた主人公が、自分と周りの世界との関係に思いを馳せる、将来に希望を持た…

うちの父が運転をやめません

『定年オヤジ改造計画』がおもしろかったので、垣谷美雨の作品をもう一冊。 タイトルからして、運転をやめようとしない頑固じいさんの話だと思って読み始めたが、それだけではなかった。もっと広く、過疎化の問題、離れて暮らす老親のこと、買い物難民のこと…

定年オヤジ改造計画

大手石油会社を定年退職した庄司常雄さん。母性愛信仰(だから、子育ては女がやるべき)と三歳児神話(小さい子どもを預けて働くなんて非常識)に毒されていて、完全に化石状態。妻には相手にされず、娘には「間違っている」と完全に論破されてしまう。 そん…

悩め医学生

泣くな研修医シリーズの5冊め。我らが雨ちゃん先生の医学生時代の話だ。要領はよくないけど、真面目で実直で正義感の強い雨ちゃん。いろいろ悩みながらも、一生懸命勉強した。読んでいる間じゅうずっと応援したくなった。 医学部の6年間はずっと勉強や実習…

君たちはどう生きるか

ずっと昔に読んだ本だが、再読。 全編を通じて、「君たちはどう生きるか?」と問いかけられている気がする。特に、「雪の日の出来事」と「石段の思い出」の章は心に突き刺さる。 何度読んでも、読みどころが多い本である。 君たちはどう生きるか 作者:吉野源…

小説8050

主人公の家族がいわゆる8050問題に直面して困り果てる、という話かと思って読み始めたが、違った。中学生の時の壮絶ないじめが原因で引きこもりになってしまった息子と家族の再生物語である。(このまま放置していればいずれ8050になってしまうという危機感…

ヴァイタル・サイン

南先生の最新刊、らしい。 今回の話は、看護師の話で、看護師残酷物語とでもいうような展開。病棟での看護師の仕事が緻密に描写されている。まるで南先生が実際にやっていたかのようなリアルな描写に驚く。そんな過酷な労働環境の中で何が彼女たちを支えてい…

サイレント・ブレス

南先生のデビュー作。いろんなことを考えさせられる本だった。 生きること、死ぬことってどういうことだろう。人は誰もが死ぬ。どうやって死ぬかということは、どう生き抜くことと言えるのではないだろうか。「生きた」という証を残して死にたいと思う。 「…

ハヤブサ消防団

池井戸潤のミステリー。 さすが池井戸潤、おもしろい。 ただ、プロットが複雑で、最後まで読んでもよくわからなかった。 来年の夏にドラマになるそう。 ドラマも見てみたい。 ハヤブサ消防団 (集英社文芸単行本) 作者:池井戸潤 集英社 Amazon

ブラックウェルに憧れて

これも南先生の本。 女であるということで苦しい立場に置かれている四人の女医さんの物語。それぞれに人生を切り開こうとしている姿に共感する。 ブラックウェルに憧れて 作者:南杏子 光文社 Amazon

希望のステージ

南先生の本。 菜々子先生の心の中は晴れない。自分が「絶対治るから」と言ってしまったばっかりに患者さんが自殺してしまったと思い込んでいるから。この「絶対」を医者が言っていいのか、がこの本の大きなテーマの一つだ。本書の最後で、たぶん、菜々子先生…

アルツ村

南先生の本。 衝撃のラストを読んで、初めから読み返したくなった。 認知症の世界がうまくサスペンスと融合している。 アルツ村 作者:南杏子 講談社 Amazon

やめるな外科医

泣くな研修医シリーズの4作目。 主人公の雨ちゃん先生は、ずいぶんとベテランになった。だが、次々と困難が押し寄せる。救えない患者さん。彼女との別れ。医療ミス。そして友人の死。 このタイトルのとおり、「やめるな外科医」である。がんばれ、雨ちゃん…

「日本」ってどんな国?

日本の現状を国際比較データを使って明らかにした労作。 「日本すごい!」というのは、バブルのころまでの話で、現在は国際的にみるとたいしたことない存在になってしまっている。ジェンダーや民主主義の観点からみると世界でも遅れた国だ。 この本がちくま…

ディア・ペイシェント

NHKドラマの原作本。著者は南先生。 「患者様プライオリティ」の方針のもと、モンスター患者の扱いに手を焼くドクター。その描写はどこか滑稽でありながら、真に迫る。 様々な困難にぶつかりながらも医師としての誇りを失わず、働く意味を追い続ける千晶先生…

いのちの停車場

著者は医師である南先生。南先生の患者に対する目、そして患者家族にそそぐ目はやさしい。終末期医療の話なので、多くの場合、患者は死に至る。患者が如何にして人間の尊厳をもって死んでいくのか、そして、見守る家族がどうやって死に直面するのか、そこに…

やさしい猫

この小説は、日本の入管行政の理不尽さ、人権感覚の欠如をあからさまに描き出す。外国人=悪という価値観が根底にあるのだと思う。 ただ、この小説は、ただの告発の書ではない。登場人物である、クマさん、ミユキさん、マヤが現実の困難を乗り越えて家族にな…

半沢直樹 アルルカンと道化師

半沢直樹シリーズの最新刊。といっても1年前の発行だが。 企業買収の裏にあるとんでもない謀略を半沢直樹がつきとめ、そこに巣食う「悪」を退治する。半沢直樹らしいスカッとした終わり方で、読後感は爽快。 半沢直樹 アルルカンと道化師 作者:池井戸潤 講…

小説 上杉鷹山

『小説 上杉鷹山』を再読。 「愛」の力で藩政改革を成し遂げる鷹山の姿勢はすばらしい。 企業風土の革新などにも通じる精神だと思う。 全一冊 小説 上杉鷹山 (集英社文庫) 作者:童門 冬二 集英社 Amazon

走れ外科医

「泣くな研修医」シリーズの第3弾。 あめちゃん先生も医者になって5年。ずいぶんと貫禄が出てきた。もう以前のように何もできない先生ではない。ひととおりのことはこなせるようになった。 この本では、今まで謎だった先輩の佐藤先生のプライベートも明かさ…

うちの子が結婚しないので

親婚活なんて(*_*)とバカにしながら読み始めたのだが、面白くて引き込まれてしまった。親が関わる、関わらないはともかくとして、結婚というのは人生観のぶつかり合いなのだということがよくわかる。 うちの子が結婚しないので (新潮文庫) 作者:美雨, 垣谷 …

逃げるな新人外科医

「泣くな研修医」シリーズの第2弾。 雨野先生は、研修医を終了して、新人外科医として働いている。でも、まだまだできないことが多い。上司からは怒られ、新しく入ってきた研修医からはプレッシャーを受ける。そんな彼が、担当した患者の死と父親の死という…

下町ロケット ゴースト

ドラマの原作本。さすが池井戸潤、でおもしろい。特に、最後の裁判で勝利を勝ち取るシーンのあたりは痛快だ。ただ、中途半端な終わり方で、この後、ヤタガラスで完結を見るのがわかっている。そういう意味では、「ゴースト」「ヤタガラス」を上下で出すのも…

コンビニ人間

コンビニでこそ能力を発揮できる主人公。でも、「普通」じゃないと排除されてしまう。普通って何なんだろう、と考えさせられる。 コンビニ人間 (文春文庫) 作者:村田 沙耶香 発売日: 2018/09/04 メディア: Kindle版

ノーサイド・ゲーム

今、ドラマの再放送をやっているが、その原作だ。 ややあっさりした展開で、ドラマのような濃密さはない。 ノーサイド・ゲーム 作者:池井戸 潤 発売日: 2019/06/13 メディア: 単行本(ソフトカバー)

スマホを落としただけなのに

スマホをタクシーに置き忘れ、それを拾われてしまうことから、次々へと事件がおこる。実際にありえる設定でそれ恐ろしい。こんなことまでできてしまうのか・・・と驚かされることの連続。 ただ、最後の結末は、どこかで読んだことがあるような筋書きでちょっ…

わたし、定時で帰ります。

続編である「ハイパー」もあわせて読んだ。 主人公の東山結衣は、定時で帰ることを信条にしているが、その前には様々な障壁がたちはだかる。パワハラ上司、パワハラ取引先・・・ 定時で帰る会社を守るために結衣は戦わなければならない。 時には過労死寸前ま…

陸王

池井戸ワールド全開。 面白かった。 零細企業が新しい分野に挑戦していく。その過程で様々な困難があり、一つ一つ乗り越えていく様子が読んでいて気持ちいい。 登場人物それぞれが個性的だが、それでいてチームとしてまとまっていく。そのチームワークがすば…

アキラとあきら

文庫で705ページの長い小説だが、面白くて一気に読めた。さすが池井戸潤。 アキラとあきら (徳間文庫) 作者: 池井戸潤 出版社/メーカー: 徳間書店 発売日: 2017/05/17 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (16件) を見る