サイレント・ブレス

南先生のデビュー作。いろんなことを考えさせられる本だった。

生きること、死ぬことってどういうことだろう。人は誰もが死ぬ。どうやって死ぬかということは、どう生き抜くことと言えるのではないだろうか。「生きた」という証を残して死にたいと思う。

「看取り」という医療。技術を駆使してできるだけ生きながらえさせようとする医療の対極にある考え方かもしれない。胃瘻を作って、血管から栄養を注入して・・・といろいろやればある程度は生きる年月は伸びるかもしれない。でも、そんな治療で本人はどれくらい苦しむのだろうか?だとしたら・・

病院で旅立った父のことを思い出す。情報が少なくて、はたしてどんな状況だったのか、よくわからない。今、思い返してみれば、ある段階で「看取り」を選択できたのかもしれない。でも、治療を続ければよくなるかもしれないという希望を捨てることはできなかった。でも、苦しんではいなかったのか?最期をどう生きたいのかを聞く機会もなかった。この本を読んだ今だったら、別の選択も考えられたかもしれない。