やさしい猫

この小説は、日本の入管行政の理不尽さ、人権感覚の欠如をあからさまに描き出す。外国人=悪という価値観が根底にあるのだと思う。

ただ、この小説は、ただの告発の書ではない。登場人物である、クマさん、ミユキさん、マヤが現実の困難を乗り越えて家族になっていく過程が生き生きと描かれている。サポートする弁護士先生や友達の活躍も頼もしい。物語としてもおもしろい。

二つの課題を小説としてまとめ上げた中島京子さんの筆の力はすごいと思う。ほかの作品も読んでみたくなった。