本多氏の戦争に関するスタンスは明快である。
単に「戦争」という表現を使うと、両者が悪い意味で「対等」の関係になってしまう。実質は侵略した側とされた側がある。侵略に対する抵抗があった結果として戦争になる。
本書は、この視点から、日本が中国に対して仕掛けた侵略、アメリカが合州国(本多氏の命名)建国以来、西へ西へと続けてきた侵略の結末としてのベトナム戦争、イラクやアフガニスタン戦争について、論を展開している。本多氏の思想のバックボーンになっているのが、ベトナムでの従軍ルポ、中国での膨大な聞き取りをまとめたルポなどである。
そして、大いに嘆くのが、わが日本でのジャーナリズムの衰退ぶりだ。政府のプロパガンダの役割しか果たせず、「真実」を書けなくなっているマスコミの姿にははがゆい思いが募るのであろう。
本多氏のルポについては、発売当時に読めていないので、これからチェックしていくことにしよう。
- 作者: 本多勝一
- 出版社/メーカー: 新日本出版社
- 発売日: 2011/01
- メディア: 単行本
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