アメリカの児童書 I Can Read!シリーズ

定期購読しているENGLISH EXPRESSに「多読」のおすすめコーナーがあり、それを手がかりに、1冊読んでみた。THE DRINKING GOURD A Story of the Underground Railroad これは、アメリカの南北戦争直前の、奴隷をカナダへ逃がすための地下組織の話を子ども向けに物語としてまとめたものだ。Harpercollinsから出されている児童書のシリーズで、Firstからレベル4まであるうちのレベル3に入っている。おそらく小学校の低学年あたりの子どもが読む本だと思われる。英語はやさしいが、侮ってはいけない。
教会で讃美歌を歌っている最中にいたずらをした子どもに父が言うセリフ
"You march straight home, sir,"
このmarchの使い方や、 ,sirを使った諭し方など、日本の英語教育からは絶対に発想できない使い方だ。
子どもがガチョウにいたずらをした場面、ガチョウたちが騒ぎ出す。
All the other geese hissed and squawked and cackled too. They made such a racket...
オックスフォードなどの語彙制限シリーズでは、こういう自然な英語は出てこない。語彙制限があるために、いわゆる「簡単な」語彙に書き換えられてしまう。このへんに、語彙制限シリーズの限界があるのかな、とひそかに考えた。たしかに語彙制限があると読みやすいし、やさしい英語をたくさん読むことで英語の構文やリズムが頭に入ってくる。ただし、そこを越えて一歩踏み出そうとすると、とたんに語彙の壁にぶち当たる。そういう意味では、こういう児童書で鍛えるのもいいかもしれない。ただ、この場合は「辞書なしで」の条件ははずしたほうがいい。そうでないと勉強にならない。

The Drinking Gourd: A Story of the Underground Railroad (I Can Read Book 3)

The Drinking Gourd: A Story of the Underground Railroad (I Can Read Book 3)