小説ドラゴン桜の語る教育論

マンガは読んだことがないが、小説ドラゴン桜には、「教育」という点で核心に迫る記述がたくさんあると思う。いくつか、メモしてみる。
「人は目標がなければ漂流する。なぜなら、人生とは日常の積み重ねだからだ。目標がなければ日常に埋没し、押し寄せてくる数々の出来事に反応するだけで人生が終わってしまう。そういう人生では、振り返っても何も残らない」
「最小限の努力で最大の効果を上げる。指導者がそのような方法論にのっとって指導していれば、生徒たちには伝わる。すなわちそれが信頼の礎となるのだ。」
(龍山高校の教師たちに向かって桜木が言う)
「ではなぜこういう結果になったか。それはあなた方に決定的に欠けている要素があるからだ。それはつまり”奉仕の心””サービス精神”だ。自分の考えをいかに人に伝えるか。これは徹底的に相手の立場に立って初めてできる。『これでわかってもらえるか』つねにこの疑問を自分に投げかけること。でなければ、このように自分本位で読む側を置き去りにした文章になってしまう。--もしかして、あなた方は、そういう授業の進め方をしてはいないか?」
「あきらめムードに支配されたこの学校で、生徒たちを指導するテクニックを研鑚している人間など、はたしているのだろうか。磨き続けなければ、技術は錆びついてしまう。テクニックで判断されるこのに拒絶反応が起きたのは、ひとえに自信がないからだ。」
「大事なのは、フェアプレーの精神と、勝つことがすべてではないということを教えることだ。健全な競争は子供の成長を助けるし、自分には自分の得意と不得意があり、他人には他人でそれがある、という気づきこそ、個性について学ぶ自然な第一歩だと思う」
「生き残るためには、新しい知識を獲得し、活用するというくりかえしが不可欠だ。それが--教育という閉鎖性の高い職場にある、教師という職業自体が、まだまだ厳しい競争原理にさらされていないからなのか--学校の教師が教えてくれない現実なのである。」
まだまだあるが、このへんで。
「教育産業は、サービス産業である」
この直球をどう受け止めるのか、教育に携わろうと考えるものの使命ではないか。

小説 ドラゴン桜―特進クラス始動篇 講談社文庫

小説 ドラゴン桜―特進クラス始動篇 講談社文庫