本多勝一の日本論

久しぶりに気骨のあるジャーナリストの文章に出会った。
本多氏が『週刊金曜日』などで発表してきた文章から、ロシアの千島占領に関するもの、アメリカの日本支配に関するもの、マスコミの堕落とジャーナリズムに関するものがまとめられている。
特に、ジャーナリズムに関する考察は手厳しく、私は「朝日」はわりと良心的なほうだと思っていたのだが、氏の筆によるともう以前の権力監視の役割は果たしていなくて堕落していると喝破している。「現場に行かなくなった新聞記者」という指摘は、まさに的を射ているのだろう。体を張って現場で取材してこそ、本来のジャーナリストの役割がはたせる。
最近はインターネットでニュースを知ることがおおい。
新聞もいちおう目を通すが、速さではネットにかなわないし、大本営発表的な記事はちっとも面白くない。たまに、現場に足を運んで丁寧に取材をして書いた記事を見かけると時間を忘れて読み込んでしまう。ネットに負けない新聞の果たす役割について、するどい問題提起だと思う。