岩波ブックレット「企業と人間」

沈まぬ太陽」のモデルとなった小倉寛太郎さんと評論家の佐高信さんの対談をまとめたもの。
以前読んだ「自然に生きて」は小倉さんの子ども時代の戦争体験やそこから培われた人生観、東アフリカでの経験などが中心だったが、この対談は、そのものずばり、日本航空時代に小倉さんが受けた差別的待遇や組合の切り崩し、日航を再建しようとして果たせなかった伊藤会長とのやりとりなど、「沈まぬ太陽」の内容を補足するような内容になっている。
特に、会社が御用組合を作って、その組合員に有利な条件を出し、闘う姿勢を崩さない第一組合の組合員にはひどい差別的な人事で脅していく、その様がリアルに描かれている。映画を見た人、原作を読んだ人には、けっこういい「副読本」だと思う。

企業と人間―労働組合、そしてアフリカへ (岩波ブックレット)

企業と人間―労働組合、そしてアフリカへ (岩波ブックレット)