沈まぬ太陽

山崎豊子 新潮社
以前から読みたいと思っていた。御巣鷹山事故20年を機に手にした。
どんな攻撃にも節を曲げずに自分の信念を貫き通した主人公の生き方には感銘を受ける。

それよりも、「国民航空」とそれをとりまく腐敗の数々にはあきれかえった。
まともな労働組合運動を主導した主人公を10年にわたり海外の僻地へたらいまわし
労働組合を分断し、御用組合を育て上げ、御用組合の執行部経験者は幹部へとりたて。
あの大惨事を起こしておきながら、保身と利益追求にあけくれる経営陣。
事故の後でも、政治家、官僚、マスコミと結びつきながら、「安全」ではなくて、利権と出世欲に固執する腐敗だらけの会社。

事故の犠牲者への手助けを最優先にして山を守ろうとする社員。絶対に事故を起こさないために時間に追われながらも細心の注意を払って整備をおこなう整備士たち。そんな真面目な社員たちの思いは報われるのだろうか?

沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上)

沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上)